学校の先生の英語力は低い?
"学校の先生は英語を教えてる立場なのに英語力は大したことない"
"学校現場にTOEIC○○○点取れる先生は何人いるのだろうか"
と言った言葉をよく耳にする。
果たして本当に学校の先生は英語力が低いのだろうか?
結論から言うと
"学校の先生の英語力は低くない。むしろ多くの人が思っている以上に英語力は高いだろう"
というのが私の見解だ。
英語力が高くない先生がいるのも事実である。
しかし、全体的に見ると英語力は決して低いとは言えないだろう。
そもそも英語を専門科目にできる人なのだから全体として英語力が低いはずがない。
検定やスコアを新たに取得しようとする教員は多くない
世間でこれだけ学校の先生の英語力についての意見が存在するにも関わらず、英検やTOEICなどを勤務しながら取得するケースはなかなか増えてこない。
学校現場に勤務している立場から述べたい。
初めに教員が置かれている環境の不平や試験を受けることの不必要性を伝えたいわけではないことを了承いただきたい。
そして何より、世間で言われるほどあなたたちの先生の英語力は低くないので安心して欲しい
ということを伝えたい。
学校の先生が資格取得をしない実情が改善されない理由は大きく分けて2つあると考える。
①受験日程調整のハードルの高さ
必ずしもスコアを取っていない=能力が低いと言うわけではない。
例えばTOEICを受けても、それなりにスコア(700-800以上)を取る先生は一定数いると私は考える。
問題なのは、スコアを取得できる環境に置かれていないと言うことだ。
環境とはつまり、テストを受ける日程調整が難しいのだ。
日本人の間で有名な試験といえば、英検もしくはTOEICだろう。
TOEICを受ける場合は、約2ヶ月前からインターネットから申し込み
英検を受ける場合も2ヶ月ほど前から申し込み、合格するためには必ず2日受験しなければならない(1次試験と2次試験)
英検やTOEIC、他テストは土日での実施がほとんどだが、教員の場合、部活指導や大会引率、練習試合等が土日にある。
1人の先生が負担にならないようどの部活にも最低2人は顧問がつくように工夫されているが、担当する部活の経験のない教員が配置されることも珍しくない。
そうなると結局は1人で部活を見なければならないのだ。
テスト実施日が練習であれば、もう1人の顧問にお願いすることもできるかもしれないが、大会があるとそうもいかない。
教員にとっては、テストを受けることそのものが非常にハードルが高いのだ。
雨で部活の日程が順延になれば、予定ではなかった日に試合が入ることもある。
頑張って日程を調整し、試験勉強をしても、結局自分の努力以外のところで受けれなくなるのだ。
その環境ではテストを無事に受け切り、スコアを取ろうと言う気にはなかなかならないだろう。
ちなみに私が経験したケースだと、英検の試験日(1次試験、2次試験共に)と担当していた部活の審判が被った。
まず他校の先生に代わってもらえないか電話をし、日程をなんとか調整。
しかし、2次試験の日は、午前中に試験を受け、終了後すぐに試合会場に向かい審判というスーパー多忙スケジュールを経験した。
ここからは余談となるが、
審判交代お願いも快く受けてくれる先生もいれば、そうはいかない先生もいた。
日程調整依頼は1回の電話で済むわけではなく、パズルをする様に数校に電話をした。
受験環境を整えるだけで疲弊したことを覚えている。
②資格取得に対するゼロメリット
英検○級やTOEIC○○点と言われれば確かに英語力の証明にはなる。
しかし、それを取得したところで昇級など、見返りとして得られるものがほぼゼロなのだ。
加えて、生徒たちもあまりTOEICや英検の凄さを理解できない。
シチュエーション次第では、資格は名刺にもなるだろう。
しかし、学校現場では、例えば"英検準1級"、 "TOEIC930点" と説明しても、価値や凄さが全く伝わらない。
生徒側からすれば"とりあえず英語はできそう"レベルにしか映らないのだ。
もちろん保護者を初めとする一部の層は理解してくれるだろう。
しかし、割合から考えるとほんの一部なのだ。
これでは資格取得をする理由はほぼなくなってしまう。
英語を勉強し続け、資格に繋げるモチベーションも無くしてしまうのが本音である。
資格の価値は学校現場では無用の長物とも言えてしまうのだ。
ちなみに、資格には繋がらなくとも趣味で英語を勉強し続けている教員は多くいると一個人として感じている。
〜まとめ〜
もし学校の先生が資格を持っていなくても、英語力が低いと判断するのは待ってほしい。
説明してきた通り、資格を無事受験することがかなりな難題なのだ。
正式な試験受験ができなくても、模試等してみれば英語力が高いことは十分にありえる。
そしてこれは本題とは少しそれてしまうが
"英語力≠授業力"
ということも伝えたい。
仮に本当に英語力が低くて、資格が取れない先生でも、授業がわかりにくいと言うわけでは決してない。
実際、現場に立つ中で、英語力と授業力が反比例していると感じるケースは多々ある。
私自身、資格を持っていない先生から授業手法等について学ばせてもらうことは多い。
もし授業の質と英語力を関連づけて意見しているのであれば、それはまた別問題だ。